宇治拾遺物語 - オンライン読書
宇治拾遺物語 - 040 樵夫歌の事
今は昔樵夫の山守に斧を取られて。わびし。心うし。と思ひて頬杖打衝きて居りける。山守見て。さるべき事を申せ。取らせん。と云ひければ。
悪しきだになきはわりなき世の中によきを取られて我いかにせん
と詠みければ山守。返しせん。と思ひて。ここここ。と呻吟きけれどえせざりけり。さて斧返し取らせてければ。嬉し。と思ひけりとぞ。人はただ歌をかまへて詠むべしと見えたり。
宇治拾遺物語 - 041 伯の母の事