宇治拾遺物語 - オンライン読書
宇治拾遺物語 - 081 大二条殿に小式部内侍歌詠みかけ奉る事
これも今は昔大二条殿小式部内侍思しけるが絶え間がちになりける頃例ならぬ事おはしまして久しうなりてよろしくなり給ひて上東門院へ参らせ給ひたるに小式部台盤所に居たりけるに出でさせ給ふとて。死なんとせしは。など問はざりしぞ。と仰せられて過ぎ給ひけるに御直衣の裾を引き留めつつ申しけり。
死ぬばかり歎きにこそは歎きしか生きて問ふべき身にしあらねば
堪へず思しけるにやかき抱きて局へおはしまして寝させ給ひにけり。
宇治拾遺物語 - 082 山の横川の賀能地蔵の事